リリーのすべて
1982年、デンマーク。
風景画家のアイナー・ヴェイナーは、肖像画の妻ゲルダと共に公私ともに充実した日々を送っていた。
そんなある日、ゲルダに頼まれて女性モデルの代役を務めたことをきっかけに、アイナーは自分の内側に潜んでいた女性の存在に気づく。
それ以来、”リリー”という名の女性として過ごす時間が増えていったアイナーは、心と身体が一致しない自分に困惑と苦悩を深めていく。
一方ゲルダも、夫が夫でなくなっていく事態に戸惑うが、いつしかリリーこそがアイナーの本質なのだと理解するようになる。
移住先のパリで問題解決の道を模索するふたり。
やがてその前にひとりの婦人科医が現れる…。
まず、私はこの作品を実話を元にした作品だと知らずに見て、
最後のエンドロールでびっくりした。
今でこそ、性同一性障害に少し理解が増えてきた世の中だけど
1982年では、なかなか受け入れてもらえない世の中だったんじゃないかな。
”リリー”は本当に美しくて、どんどん本物の女性に見えてくる。
苦しみ、悲しみさえも美しく見える。
本人も苦しかっただろうけど、ゲルダは本当に苦しかったと思う。
アイナーと過ごすゲルダは本当に無邪気で可愛らしくて、
本当に幸せそうだった。
もし、夫がどんどん女性になっていったら…
私は未婚なので全く想像ができないけど、
きっと想像を超えるような経験だろうな。
ゲルダの姿を見て、本当の”無償の愛”を見た気がする。
何度も”リリー”を拒否しようとするけど、
でもやっぱり”アイナー”が”リリー”を想う気持ちが大きくて
”リリー”の元に助けに行くゲルダ。
”リリー”と”ゲルダ”の絆は他の人には想像できないようなもので繋がっている気がした。
あと、ハンスもなかなか格好いい。
ゲルダに寄り添いながら、”リリー”の気持ちも支えていた。
最後まで、あまりフューチャーされていなかったけど、
重要な存在だったと思う。
ラストシーンの”リリー”のセリフがとても心に残った。
苦しいけど、見て良かった。